
広島県人じゃないからわかる広島の常識の数々
広島の大衆車はトヨタカローラではなくファミリア。公用車(商用バンタイプ)はファミリアバン。
軽自動車はスズキが多いが、キャロル、ラピュタ(C.W.ニコルによればラプタ)、AZワゴン、AZオフロードなど、OEM(相手先ブランドによる生産)によるマツダ車の販売量の多さが目を引く。
ワンボックスはボンゴ。
デリカ、ハイエースやエルグランドなどでさえ、広島の人には、ボンゴと言われてしまうことも少なくない。
ヨーロッパではロータリーエンジンを実用化したマツダは高く評価されていると聞いたことがあるが、広島でマツダが自動車の代名詞となっているのはほかでもない、マツダが広島県の経済を支えているからである。
マツダがえらいと思うことがある。それは、広島東洋カープのスポンサーでありながら、それを表に出さないことである。
地元なら知っていることであるが、マツダの前身である東洋工業の東洋が球団名にはいってはいるが、それをマツダと替えていないので、カープときいてマツダをイメージする人は少ないのではないか。それゆえ、カープが市民、あるいは県民の球団という意識を強くさせているように思える。市民と肩を並べてカープを応援しているかのようで、えらいと思うのである。
マツダ優位の県内自動車界にあって例外は軽トラックである。
オートザムでも軽トラをだしているが、一番の売れ筋はなんとJAブランドの軽トラである。フロントガラスの下、助手席側にJAのロゴ。後背板にはJAサンバーとか営農サンバーと書いてある。製造元の富士重工の文字は一つもなく、ただ星座のエンブレムが前面中央部でありながらもひそやかに輝いている。おそるべしJA。
広島ではどのテレビ局を見てもカープ情報をやっている。NHKも例外ではない。
また全国ネットの野球中継も広島ではカープ戦に置き換えられている。(大阪や名古屋も同じようなものかもしれないが。)
巨人戦の裏(他局)で市民球場の中継をすることもある。
他の県から移住している人にとってはカープばかりと思うのだが、地元の人にとっては、それでも不足らしい。
全国ネットでジャイアンツのことばかりとりあげられることに不満を漏らすのである。
逆に広島から他県に進学、就職などで移ったとき、つい、
「きのうカープ勝った?」
などと聞いてしまい、「なんだおまえ。」と思われることもあるらしい。
中国新聞は中国といっても広島の地方紙である。購読者数は地方紙では全国で一番多いそうだ。
運動面はカープ、サンフレッチェ(広島ゆかりの毛利元就の三本の矢の伝説より、三と、矢という意味のフレッチェをつなげた)、JTサンダーズ(Vリーグ)、ハンドボールの湧永製薬、イズミほか地元チーム、県出身選手の活躍が中心。
ジャイアンツファンが報知新聞を買うように広島県人は中国新聞を読む。
野球などに関心のない主婦たちは折込広告の多さにひかれて中国新聞をとる。中国新聞には他全国紙よりも折込が多いのである。
某全国紙は購読者獲得のため、価格を下げて、中国新聞とそろえて対抗しようとしている。その新聞を読むには広島県に住むのが経済的である。
広島人に欠かせないのはお好み焼き。鉄板の上で、ステンレスなどのヘラで食べなければおいしくないという。
わたしは猫舌なので、皿にもらってだんだん冷めてくるところを割り箸で食べるほうがよいのだが、店のおばちゃんに、
「鉄板で食べたほうがおいしいけえ。」
といわれたら断れず、鉄板にのっているアツアツを冷水と共に口に入れて冷ましながら食べる。
そんな食べ方をしたらおいしいわけがない。
広島風お好み焼きに欠かせないのが、おたふくソースである。
いまでこそ全国の小売店でも簡単に入手できるが、一昔前は、広島に出張する人におたふくソースを頼む人も多かったらしい。
ところが、広島県にはおたふくソースが嫌いという人が非常に多い。それはなぜか。
それは特に県北においてであると思われるが、カープソースでなければだめだというのである。(写真)
カープソースとは広島県北、三次市に本社工場を置く毛利醸造というところでつくられている。広島カープとはあまり関係がないらしい。
三次市内のあるお好み焼きやさんで食べていたときのこと。
店のおばちゃんが、常連らしい人にソースを渡すとき(ソースはかかっているがほとんどの人はさらにソースをかける。)
「こんなんしかないけど、中身はカープじゃけ。」
と言いながらおたふくソースの名前入りのソース差しを渡していた。
三次の人にとってはおたふくソースは、「こんなん(こんなもの)」なのである。
カープソース
