
レシート裏にこんな文字が!。カナダ旅行から帰って2年ほどして、とっておいたレシートをチェックしながら思い出にふけっていると、うっすらと文字がすけてみえた。裏を見るとこんな文字が。Shcmk you! Clair。PUBのレシートである。
あのかわいい店員さんがわたしにメッセージなんて、とドキドキした。
でもなんと書いてあるのかわからない。
Shcmk you! Clair
彼女Clairっていうんだ。すてきな名前だ。
Shcmkってなに?
カナダであまりに英語がわからなくて、勉強しようと思って買ったPROGRESSIVE English-Japanese Dictionary を開いた。
shay の下はsheになっている。
shc...ではない。
そういえば、外国人って日本人ほど正確なスペルをしないんだろう。もしかしたらschmkかも。と思いページを右にめくる。
schmで始まる単語はschmalz, schmear, schmo, schmooze, schmuck の5つだった。一番近いのは schmuck だろう。
schmuck((米俗)) ばか,まぬけ;低能, 薄のろ;変り者, 世間知らず. とある。
血の気が引く思いである。親切な感じの応対だったのに、人種差別か、それとも...
そういえば気になることがひとつあった。
その店はVancouver のダウンタウン、たぶんGranville St. (グランビルストリート)よりも南東だったような気がする。ホテルからは1km以上ありそうな距離を友人と歩いた。
わざわざそんな店に行ったのは、ジャズ好きの友人がダウンタウンのどこかでライブ情報を手に入れたからである。
わたしはよくわからないけど、ついていった。
店は暗い通りの、階段を上がった2階にあった。入り口で5ドルずつ払って店内に入った。
中は暗くもなく明るくもなく、ライブ待ちの客もそこそこはいっていた。客層は大人っぽいと言うか、いい感じの中年の客がほとんどだった。店員も白いブラウスに黒いエプロンで上品な感じだった。
主にテーブルを回っていたのは、美人というよりはかわいいというのだろう、小柄な若い店員だった。
私はLabatt's blue かMolson (共にカナダのメジャーなビール)を頼んだが、ないというのでBud を飲んだ。友人はライ・ウイスキー。ジャズマンは飲むものが違う。
わたしが1本飲み終えると彼女が近づいてきて尋ね、わたしはもう1本もらった。
そのときの様子も、N.Y.の店員とは違い、丁寧でさわやかなのである。
チェックのために呼んで、カードを出すと、彼女はカウンターのほうに戻るようだった。
私たちのテーブルはカウンターから一番遠かったので、大変だろうから、わたしはレジのほうまで彼女についていったのである。
アメリカやカナダではテーブルで支払いを済ませるのがスマートなので、それで彼女に変なやつと思われたのかもしれない。
幼少期から高校生までカナダで過ごした別の友人にこの文字を見せた。彼は、Shame you! とも読める。と言った。
やはり彼女は恥ずかしかったのだろうか。わたしの行動は欧米ではそんなに変なものだったのだろうか。しばらく悩んだ。
しばらくしたあるとき、わたしはPEANUTS の漫画のペーパーバックを見ていた。
すると、日本語なら、チュッ、と擬声語を入れるようなところにsmack の文字が。
あれ、レシート裏になんて書いてあっただろうか?
もう一度レシートを掘り起こしてみた。
が、残念ながらどうみてもsmack には読めなかった。
はかない期待を抱いた一瞬だった。
ところが、落ち着いてみると、半カナダ人の友人が言ったように読めばShcmkではなく、Shank。Shank you! ではないか。彼もまんざらネイティブスピーカーなわけではない。
つまり、Thank you!
Sと読んでいたのはTの筆記体であろう。やはりネイティブの文字は読みにくい、ということを痛感させられた一つの事件であった。
それにしてもレシート裏にThank you! なんて手書きで。気が利いているではないか。やはりわたしの心遣いが彼女に伝わったのであろうか。それともすべてのレシートにそう書くのだろうか。彼女の名前はClair なのだろうか。悩みは尽きない。
はじめから Thank you! と読めた方はメッセージをください。メールはこちら