
英語圏と日本ではサイン、身振りもちがう。おいでおいで、と手首の運動をするように招けば、外国ではあっちに行け、の意味でとらえられてしまう。
OKのサインも日本では「お金」を意味することがある。その勘違いのドラマである。
Pagliacci's (パグリアキ)はカナダのBritish Columbiaの州都、Victoria にあるイタリアンレストランである。
ジャズライブがあるというのでジャズマンの友人について行った。(Vancouverでもライブに行った。参照)
店は込んでいて、入り口で順番待ちした。店内はとても活気があるように感じた。
店の入口で待っている間に、現地の人らしいカップルに声をかけられた。
「カナダ(ビクトリア)にはどれくらい?」
みたいなことを聞かれた。と思う。
"For a week." (一週間)
For がいるのかどうかわからなかったけど、そう答えた。
彼は、
"Four weeks. Good." (4週間かあ。)
と言った。
彼女は、
「違うよ、"For a week." って言ったよ。」
みたいなことを彼にささやいていた。
たいてい、女性のほうがよく聞き取ってくれる。右脳が発達しているせいだろうか。
わたしは面倒くさいし、どうでもいいことだし、彼女もわかってくれたようなので訂正はしなかった。
わたしの友人は、
「なんでうそつくの?」
とわたしに聞いてきた。うそじゃない。通じなかったのだ。
それ以来、わたしは、
"One week." (1週間)
と答えるようにした。
わたしたちは Non Smoking の席についた。メニューを見た。
黒人男性の店員が飲み物のオーダーを取りに来た。
"How would you like to drink?"(飲物は何にしますか)
親切なことに、飲む仕草の手振り付である。
わたしは Labatt's Blue (ラバッツブルー、青いラベルのカナダのビール)。
以前からカナダではラバッツを飲むと決めていた。
友人はなにやら彼と話していた。
ビールがきてから、大柄な女性の店員が料理の注文を取りに来た。
わたしは、ヘミングウェイのなんとか、という、パスタ料理を頼んだ。友人はまたなにか言っているが、どうも通じていないようである。
店員も忙しいだろうから、わたしは勝手に
「セイムワン(同じ物を)」
と言ってしまった。
こういうところが日本人のいいところでもあり、悪いところでもあるのだろう。
でも、店員さんも喜んでくれたような表情を見せていた(気がする)。
友人は、
「さっき頼んだよ。」
ということを言っていたらしい。
結局、その”ヘミングウェイ”しか来なかった。
しかし友人はニューヨークステーキを食べたいらしい。
わたしにも「食べる?」と聞いてきた。わたしはパスタももてあまし気味だったが、その場のいきおいで、「うん」と言ってしまった。
また店員を呼んでニューヨークステーキを2つ、頼んだ。
店員は、「そんなに食べられるの?」みたいな顔だった。
すべてそろってから、さきほどの大柄女性が、たぶん、"Everything's
O.K.?" と聞いてきた。
指でOKサインを作りながら。
わたしは何を聞かれたのかわからなかったが、
"VISA card, O.K.?"
と聞きなおした。
OKサインを見て、
「お金はだいじょうぶ?」
と聞かれたと思ってしまったのである。
なにしろ、二人で4人前頼んでいるし、日本人は幼く見られるようだから。
どこのレストランでもそうやって声をかけられることを、その時は知らなかったのだ。
友人はわたしに、「なんだって?」と聞いてきた。
「お金もってるかって言ったんじゃないの?」
と答えた。
「失礼なこと聞くね。」
と友人。
パスタさえ食べきれないわたしはステーキまで食べられるわけがない。肉も硬かった。
Doggy Bag に入れてもらって宿に持ち帰った。
宿はVictoria International Hostel。ビクトリアのダウンタウンにあるきれいなユースホステル。
ビクトリアに来たら、古き良きヨーロッパの香り漂わす高級ホテル"The Empress" (エンプレス)に泊まるべきだが、わたしたちの泊まったY.H.も築百年以上らしい。
メンバーでないので、シーツ代とあわせて1泊C$15。(オフシーズン料金)。
部屋は2段ベッドが3つあった。
翌朝、昨夜の残り物をレンジで温めて食べようと思ったが、どうしても使い方がわからなかったのでそのまま食べた。
食後、ダイニングにあった自動販売機でピンクグレープフルーツのジュースを買って飲んでいたら、白人男性が近づいてきた。
「隣に座ってもいいですか?」
と聞いているらしい。席はほかにいくらでもあるのに。
わたしは、「いいですよ。」というつもりで
"Yes." と答えた。
友人が撮っていたビデオを後になって見てみると、その時、その男性は戸惑っていた。
今考えれば、彼は
"Do you mind if I sit here?" (座ってもいいですか。)
と言ったのかも知れない。
"No.I'm not." とか "Sure."
とか答えなければならなかったのだ。このあたりが英語で答える時の難しいところである。
彼は戸惑いながらもわたしの隣に座った。そしてわたしたちに、killer whale (シャチ)を見に行かないか。と言う。
彼はドイツから来ていて6ヶ月滞在しているらしい。彼女と一緒だった。
彼女は遠くの席に座っていた。
彼はその席からわたしたちを見て、男二人連れだし、日本人だし、珍しいと思って近づいてきたのだろう。
わたしにどれくらい滞在しているのかと聞いてきた。
"One week."
と答えた。昨夜の教訓を生かして。
シャチは見に行けばいつでも見られるものではないらしい。ホエールウォッチングについていろいろ説明してくれた。
わたしたちはその日のバスでバンクーバーに戻らないといけなかったので、その旨説明してことわった。
彼はドイツ人にしては、ドイツなまりのない、きれいな英語を話していた。(そんなこと言える立場ではないが。)
Pagliacci'sのサイト http://www.webvictoria.com/theroxy/pagliaccis.html (メニューもあります。)