Love Canada? カナダ旅行記

カナダコレクターズアイテム

旅の写真

PCL

〜 A friend in need is a friend indeed.

わたしたちは、シャチを見てみないかというドイツ人の誘いを断らなければならなかったことを残念に思いつつ、バンクーバーへのバスに乗った。

バスがB.C.フェリーに乗ると、わたしたちは船の客室に移動した。確かにビクトリア行きのバスに乗ったときは、フェリーの中でバスの運転手が"twelve thirty" (12:30までに戻ってきてください)と言っていたのを確認した。

ところが帰り(バンクーバー行き)は、馴れからか、時間を確認していなかった。ほかの乗客が車に戻り始めたら戻ればよいと思っていたからである。
しかし、なんとわたしたちはその動きに気づかなかったのである。

みんなフェリーの中の車に戻った時、乗客ではたぶんわたしたち二人だけが船の客室にとどまっていた。
バスに乗らなければ港からダウンタウンまで帰れない。

眠り込んでいたのではない。もしそうだとすれば、親切なカナダ人たちはきっとだれともなく、起こしてくれたことだろう。
わたしたちは集中していたのである。わたしは国際電話に。友人浩史(仮名)はその様子をビデオに収めることに。

わたしはガイドブックを持ち歩かないため、電話のかけ方もあいまいな記憶に頼っていた。
国際電話は001、日本の国番号は81、市外局番の0は省いてそのあとは番号どおり。
そのとおりに船の公衆電話からかけてみた。つながらなかった。日本の国際電話は・・・というCMのコピーの意味がよくわかっていなかったのだ。
それでもあきらめなかった。何度かトライした。バリエーションを変えてみたりもした。だめだった。
オペレーター(ジャパンダイレクトではない)を通してかけることにした。
「インターナショナルコールトゥージャパン」
オペレーターは英語でなんかしゃべっていたが、何を言っているのか聞き取れなかった。わたしは何も言わず電話を切った。日本人に対するイメージが悪くなることを懸念しつつ。
そんなことをしている間にフェリーは本土に近づいていたのだった。

チェックアウトの時間までホテルの部屋にいると、近くの部屋での掃除の音が聞こえてくるように、あれほどにぎやかだった船内は静まりかえり、ただ掃除機の音だけが響いていた。

わたしたちはあわててバスに戻ろうとした。しかし、こんな緊急時に浩史はトイレに寄るという。わたしは一足先にバスに向かった。

どの車もすでにエンジンがかかっていて、いつ到着してもいいですよという感じだった。わたしたちの乗っていたバスも当然、乗降口が閉まり、エンジンがかかっていた。
バスの乗り口に立った。乗降口の一番近くに座っていた日本人女性二人組が気づいてくれて、バスの乗務員が入り口を開けてくれた。

わたしがステップを上がるときに、乗務員はわたしに何か尋ねてきた。
わたしは慌てていたし、何を聞かれたかわからなかったが、きっと、

「このバスに乗っていたお客さんですか?」とでも聞かれたのだろうと決め込んで、「イエス」と答えた。

最前列の彼女たちは英語がわかるらしく、「えっ?そうじゃないでしょ?」みたいなリアクションだった。

もしかしたら、「あと一人一緒じゃなかった?」とか「お連れさんはいませんか?」とか聞かれていたのかもしれない。でももう答えてしまったものは仕方ない。
わたしはかまわず、車内に進んだ。浩史のことは気がかりだったが、ただバスが出発する前に戻ってくれることを願うのみだった。

バスの後ろのほうへ向かう途中、席が二つ空いて、荷物だけ置いてある座席があった。まだ戻ってないのんきな人もいるんだと思い、わたしたちが座っていた席に向かった。
するとなんと、その席には一人のカナダ人(予想)の男性が座っていて、隣には大きなバッグが置いてあった。

「席とられたー!。」
と叫ぶ人がいてもおかしくないシチュエーションだが、わたしは、静かに

「エクスキューズミー」
と言って荷物をどけてもらい、そこに座った。
浩史、早く戻ってきてくれ。と心の中は穏やかでなかったが、座ってみると、少し落ち着いた。

わたしの少し前、バスの中ほどの席では、なにやらざわついている。空席の客が戻っていないことを心配しているようだった。

"Black suits"
ということばが聞こえた。

「この席の人は確かブラックスーツを着ていたよ。」
みたいなことを言っていたのだろう。それは浩史が着ていたブルックスブラザーズの紺ブレのことだ。とわたしにはわかった。

そんな騒ぎの中、浩史は戻ってきた。しかし、浩史は誰かの荷物が置いてあった席に座ってしまった。なんて図々しい。
バスは落ち着きを取り戻し、港に着くと、フェリーから降りた。
バスが走り出してよく考えてみると、浩史が座っている席がわたしたちの席だということに気づいた。

わたしのほうが動揺して、自分の席を忘れていただけだった。わたしは席を立ち、浩史の隣の席に移った。その席に置いてあった荷物も落ち着いて見れば、わたしのものだった。
わたしは苦笑いを浮かべ、浩史を見た。

彼はノーリアクションだった

ちなみにPCLとはPacific Coach Lines です。バス会社です。

> ページトップへ