
わたしが初めての海外旅行で学んだこと。それは、生活必需品も現地で調達すれば、記念に残る、自分へのお土産になる。ということ。
それ以来、(なんていうと旅行しまくってるようだがそんなことはない。)下着や整髪料などは現地で買うことにしている。
バリで必要なもの、といえば、まずサンダル。
町を歩いているオージー(オーストラリア人)はまるで制服のようにレザーのサンダルを履いている。
わたしも土地にとけこむため、同じようなものを買いに出かけた。
ホテルからクタスクエア方面に向けて歩き、1件目のサンダルやさんに寄った。愛想のいいおやじがいた。
NIKEとスウォッシュマーク(ギリシア神話の勝利の女神ニケの翼をイメージしたという)のついたサンダルを見つけた。
最近のナイキはそのマークだけでNIKEのロゴは入らないので、そのサンダルは古いか、偽物かどちらかであろう。
茶色の裏皮で、本物だったら数千円するだろう。もちろん値札はついていない。
わたしは旅行先でお金をばらまいていく日本人観光客とは違って 手ごわいぞ。という意気込みで勝負を挑んだ。
「ハウマッチ?」
得意の英語で聞いてしまった。ここですでに失敗。
強気に日本語で「いくら?」といかなかった時点で勝敗は見えていた。
おやじは電卓で150,000とうった。うーむ。約2千円か。(現地通貨はルピア。Rp.)
わたしはかけひきのつもりで、じっくり値切る気持ちを見せるために、その店にあった風呂のイスのようなイスに腰掛けた。そして電卓をとり、100,000とうってみせた。
おやじは考えるまもなく、「クレイジー」とでもいわんばかりの表情。でも130,000にした。
わたしは悩んだ様子を見せ、同じ型で黒い表皮のナイキのサンダルを見た。
おやじは、それは100,000だといった。
でも茶色のほうがいいモノだからこれは130,000なんだ。茶色が欲しいんだろう。という感じだった。
そんなやり取りの間に、わたしたちのところに人が寄ってきた。隣の店の人たちなのか、現地の人たちが、数人、様子を眺めている。
わたしは立っている人の壁に囲まれてしまった。
なんとなく、圧力を感じて、わたしは120,000とうってしまった。雰囲気に押されたのだろう。
おやじは考えて、いかにも仕方なさそうに、「OK。」などといった。わたしは、Rp. 100,000まで下げようと思った。
でも、自分でうってしまった数字である。さげられるわけがない。そこでやっと失敗に気づいたのであった。
妻が選んだ無名のミュールとあわせてRp. 120,000か。交渉は終わったのであきらめるしかない。
いい勝負だった。と健闘をたたえあうかのように、おやじと握手して帰ってきた。
おやじはきっと、またばかな日本人からもうけさせてもらった。と思っているかもしれない。 
次の日、レートのよい両替所を探すために歩き回ったとき、その店の前を通った。買ったサンダルで。
前日の勝負に負けたわたしは顔を合わせないように通り過ぎようとした。
すると、おやじが店の中から(壁も窓もないが)、「おーい。」と言うような感じで声をかけてきた。
サンダルを指さして、
「履いてるね。似合ってるぜ。」
みたいなことを言ってきた。(と思う。)
わたしは、気をよくしておやじを許してやった。許すもなにもないが。
p.s. 日本人観光客のみなさん、わたしも対日本人の相場を上げてしまったかもしれません。ごめんなさい。
街での買い物にはルピアが必要。(日本円も歓迎されるけど)
クタには両替する店がたくさん。どこのレートがいいかなあ。 両替勝負